身体のしくみ
靴下を履く時に足が上げにくい、しゃがむと股関節の前が詰まる。股関節が硬いと感じるのは、こうした動作をする時ではないでしょうか。
ストレッチをした直後は動くのに、次の日には元通り。その繰り返しには理由があります。
ストレッチをしても股関節が柔らかくならない理由
- 靴下や靴の着脱がしにくい
- しゃがむ動作がしづらい
- 車の乗り降りがしにくい
- あぐらがかきにくい
靴下を履く動作では、股関節を曲げる、外に開く、外にねじる動きが同時に必要になります。そこに腰を丸める動きと、骨盤が後ろに倒れる動きが加わります。
1回のストレッチで広がった可動域は、数十分ほどで元に戻ります。その場で柔らかくなった感覚は、伸ばした直後の一時的な変化です。
数週間続けたぶんの柔らかさは、やめてもすべてが戻るわけではありません。1回の長く行ったストレッチより、短時間でも継続してストレッチを行うことが重要です。
座っている時間の長さも関わっています。一日の大半をデスクワークなどで、股関節の前側が縮んだ姿勢で過ごしている方は、股関節を後ろに伸ばせる範囲が小さくなります。
股関節のつまり
股関節を深く曲げる時、最終域では骨盤も後ろに倒れます。骨盤が後ろに倒れる余裕があるかどうか、この動きが行えているかどうかで、股関節を曲げられる範囲は変わります。
骨盤が後ろに倒れにくいまま股関節を曲げ続けると、股関節の前側で挟み込むような、詰まった感覚が出ることもあります。この感覚はしゃがむ時や車に乗り込む時に出やすくなります。
確認する動作は、骨盤が後ろに倒れることができるのか、です。骨盤が後ろに倒れる動きは、腰を丸める動きと一緒に起こります。
股関節の硬さを確認
痛みが出ない範囲で行い、左右を比べてください。
- 座って確認:椅子に座り、片方の足首を反対の膝の上に乗せます。左右で乗せにくさが違う場合は、曲げる、開く、外にねじる動きのどれかに制限があることも考えられます。
- 仰向けで確認:仰向けに寝て、片方の膝を両手で胸に引き寄せます。反対側の脚が床から浮く場合は、股関節の前側に制限があることも考えられます。引き寄せる強さで結果が変わるので、軽く引き寄せた状態で確認します。
- 骨盤を確認:椅子に浅く座り、背もたれを使わずに骨盤を前後に倒します。後ろに倒す余裕があると、股関節を曲げられる範囲が変わります。
股関節周りの筋肉をほぐす前に、どの動作に問題があるのかを確認します。
ストレッチで痛みが出る場合は、伸ばす場所が合っていないことも考えられます。痛みや痺れが出る時は中止してください。
股関節を伸ばす時間をつくる
1回に長く伸ばすより、短くても継続できることが可動域の改善に繋がります。長く伸ばすほど効果が上がるわけではないので、痛みが出る手前で止めてください。座る時間が長い方は、立ち上がったついでに股関節の前を伸ばす運動を取り入れるなど、工夫が必要です。
股関節の前を伸ばすストレッチは、片膝立ちの姿勢で行います。腰を反らせて伸ばそうとすると股関節の前は伸びないので、お腹に軽く力を入れて骨盤を立ててから、体をゆっくり前へ送ります。手順は腰の痛みのページに載せています。
当院での施術方法
施術は問題となる部位に合わせて、仰向け、うつ伏せ、横向きなどポジションを取っていただきます。股関節の屈曲に制限がある方にうつ伏せから施術を開始すると、腰の緊張が一段と高くなります。この時点で腰の緊張が抜けにくく、リラックスできない状態となります。
骨盤が整っていない状態で猫背や巻き肩を施術しても、もとの姿勢に戻ってしまう可能性が高いです。
同じ硬さでも、ほぐしたほうがいいのか、伸ばしたほうがいいのか、力を入れてもらったほうがいいのかは人によって変わります。
セルフケアはその場で一緒に行い、動作を見ながらお伝えします。姿勢が原因の場合は、整体だけでなく日頃の取り組みが最も重要になります。
根拠: ストレッチを中止した後の可動域の推移 — Konrad A et al., 2025, Sports Medicine - Open / 座位時間と股関節伸展可動域 — Boukabache A et al., 2020, Musculoskeletal Science and Practice / 骨盤の傾きと股関節可動域 — Swärd Aminoff A et al., 2018, Open Access Journal of Sports Medicine
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