身体のしくみ
背中の痛みは真ん中から下に出やすく、押しても場所がはっきりしないことがあります。理由のひとつは背骨の高さによって得意な動きが違うことです。腰椎は回旋動作が苦手で胸椎は得意な関節です。
背中の痛みは真ん中から下に出やすい
- パソコンに向かっていると肩甲骨の間が痛くなる
- 洗濯物を干そうとして体をひねるとピリッとする
- 物を持ち上げたときに腰の上のあたりがピキッとする
- 押してもらっても場所がはっきりしない
どれも背中の真ん中から下の話で、首や肩の痛みと違って指で場所をすぐ差せないことが多くなります。
体をひねるとき動いているのは胸椎です
椅子に座ったまま上半身だけを後ろにひねってみてください。骨盤は動かさないようにします。
このとき回っているのは主に背中で、腰はほとんどねじれていません。
背骨1つとその下の背骨との間でねじれる角度を測定すると、背中の真ん中あたりが最も大きく2.7度ほどです。背中の一番下・腰との境目では5分の1以下の0.5度まで落ちます。
腰椎(ようつい)は5つあり、1つあたりのねじれは1度から2度ほどしかありません。体をひねる動きの大半は胸椎が動いています。
椎間関節の向きは高さで変わります
骨と骨をつなぐ椎間関節(ついかんかんせつ)の向きは背骨の高さによって変わります。
胸椎(きょうつい)の椎間関節は体の正面と平行に近い向きで並んでいます。この並びは回旋に向いています。腰椎の椎間関節は体を左右に分ける向きに近くなります。前後に曲げる動きには向いていますが回旋は制限されます。
横に倒す動きで測定すると順番が入れ替わります。背中の真ん中は0.8度ほどしか倒れませんが、腰との境目では2.2度から2.3度まで上がります。倒す動きがいちばん大きいのは腰椎ですが、ねじる動きでは胸椎が大きく動きます。
部位の機能が入れ替わる場所には負荷がかかります。この境目にあたる胸腰移行部(きょうようこうぶ)の関節を調べると軟骨の変化が最も多くみつかり、背中の痛みが出やすい場所になっています。
押して痛い場所が痛みの出どころとは限りません
背骨の関節は痛みを感じる場所と痛みの出どころがずれます。
背中の椎間関節は関節そのものの位置から離れたところに痛みを感じさせ、背中のほとんどの範囲で3つから5つの関節の痛みの範囲が重なります。ひとつの場所に複数の高さからの痛みが集まります。
背中の痛みは押しても場所をはっきり差せません。マッサージで背中が軽くならないときは、出どころが別の高さにあるのかもしれません。背中が丸まった姿勢が続くこともねじれにくさにつながります。姿勢そのものが気になる方は 猫背・姿勢改善のページ をご覧ください。
ご自身で確かめてみてください
椅子に座って次の3つを確かめてみてください。
- 骨盤を動かさずに体をひねると途中で止まる感じがする
- 左右でひねれる量に差がある
- ひねったときに背中の真ん中から下が突っぱる
当てはまるものがあっても背中の痛みの出どころが必ずそこにあるとは限りませんが、背中のどのあたりに動きの制限があるかを知る手がかりになります。
四つ這いで背中をひねる
背中をひねる動きを取り戻すときに問題になるのは腰の代償です。背中が回らないぶんを腰や骨盤が代償すると、背中は動かないまま終わります。そこで腰が動かない姿勢を先に作ります。
- 四つ這いになりお尻をかかとに近づけて座ります。股関節を深く曲げると腰は動けなくなります
- 片手は胸の真下の床につきます。もう一方の手は後頭部に添えます
- 息を吐きながら床についた手で床を押し肘を天井に向けるように背中をひねります
- 3秒たもってゆっくり戻します。左右5回ずつが目安です
うまくいかないときは次の点を見直してください。
- 体が横に倒れてしまうときは床につく手が体から離れています。胸の真下に置き直します
- 骨盤が一緒に回るときはお尻がかかとから浮いています
- 首だけで見上げないようにします。目線は肘を追います
- 息を止めないようにします
痛みが出るときは中止してください。回数より姿勢のほうが大事です。
飯塚市の当院で確認していること
背中のどの高さに動きの制限があるかは、動いていただかないと分かりません。体をひねる動きと前に曲げる動きを実際に見せていただいて、骨模型で一緒に確認するところから始めます。そのうえでその日にどこへ手を入れるかを決めます。
背中の同じ場所に痛みが出続けているなら一度ご相談ください。
関連記事:猫背が治らないのは、背中の真ん中が硬いから/深呼吸で肩が上がる人は、首がこりやすい
参考:Fujimori T et al., 2012, Spine / Fujimori T et al., 2013, Spine J / Pearcy MJ & Tibrewal SB, 1984, Spine / Gercek E et al., 2008, Spine / Dreyfuss P et al., 1994, Spine / Singer KP et al., 1990, J Manipulative Physiol Ther
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